すぐそこの無縁家族;その2

【その1】【その2】【その3】

 

主人の家から30Mほど離れた所に寺がある。檀家となっている寺で、正月の年始廻りはいつも住職のお供をしていた。じいさんとばあさんが亡くなった時は、自分と弟で住職を呼び、お経をあげてもらっていたと、先日住職から話を聞くことができた。

 

▼その住職にしても主人が亡くなったことはわからなかったそうだ。弟が最低限の礼儀として出した、回覧板の挨拶文で故人となったことを知った。生前住職は、納骨を主人に再三勧めるも、主人が動き出す気配はなく、聞く耳はなかったようだ。そうゆう状態だから、ふたつのお骨が家にそのままになっているらしい。

 

▼それにしても、弟は兄をどうやって弔ったのだろうか。まさか、自分で火葬場にもっていくことなどできないはずだ。遺体処理業者があると聞くが、この近所にもあるのだろうか。そして、両親のお骨はどうなっているのだろうか。まだ実家にあるのか、それとも他のところに移したのか。

 

▼実は、その弟は私と小学校時代同級生であった。仲がよかったわけでもなく、かといって悪かったわけでもない、と自分では思っていた。ところが、42歳の厄年に30年ぶりに集まった中同級生で唯一話をしなかったし、35年ぶりの中学校の同窓会にも声をかけてみたが、まったく話をしてくれなかった。そうとうに嫌われていたのだろう。おぼえは全くないが。

 

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