話を面白くするための「つかみのコツ」はライブ感

11月から依頼された講演もようやく終了した。毎週1回、ひと月続いた。同じ話をするにしても、毎回話を振り返り、次に生かそうと原稿を見直した。人前で話をするということは難しい。退屈にさせてはいけないし、つまらない話はだれも聞いてくれない。内容よりも「聞いてて面白かった」が一番のポイントである。ただ、そうとうにむずかしい。

 

▼昨日テレビでM-1グランプリを見た。漫才師というのは話のプロであって、その道で食べている人たちである。さまざまな会話を駆使して、ひとを笑わせる。話術一つでお金をもらうのであるから、常人ではできない芸当である。一流といわれるひとたちに随分笑わせていただいた。面白いと感じさせるにはひとつのコツが共通している。それは「つかみ」である。

 

▼登場してから約1分間で笑いをとれるかどうかにかかっている。つかみを取れた漫才は、最後まで面白いと感じる。つまらなそうだと感じたコンビの話は最後まで、興味が持たないものだ。私がファンの博多華丸・大吉は、直前の漫才師のネタを一部パクって、みごとにつかみをとっていた。つかみのコツは、鮮度であり、ライブ感の演出といってもいい。

 

▼今あったこと、ついさっきあったことを会場の観客や視聴者と共有できているか。そのライブ感に長けた芸人は、確実に最後まで笑いをとっていた。また、自分の失敗したこと、しくじったこともおいしいつかみだ。だから、わたしのように、知識ネタや政治ネタはまじめバカに聞こえるだけで、話のつかみとしては最悪なのである。