熊本地震 100万人分の水のインフラを根本から立て直さなくてはならない
今では鋸山登山口にのみ清水がある。
熊本市は水の町である。周辺地域も含め、100万人近くが水道水をすべて地下水でまかなっているという、世界的にまれな都市なのだ。天然のミネラルウォーターが水道の蛇口から出てくるというのは、うらやましい限りの生活である。雪消パイプで地盤沈下を引き起こしている長岡市も、たしか市議の視察団を派遣している。
▼その熊本市に震度7という激震が走った。強い余震で、建物の倒壊などは引き続き注意が必要なのだが、それにも増して心配なのが、市内全域で断水状態となってしまったことである。応急にしていた給水活動さえ中止せざるを得ない状況だ。電気がないと同様に、水がないというのは想像以上ににつらい。
▼阪神淡路大震災では会社の復興支援隊として、3週間余り現地に派遣された。そこでは、救援物資で一番求められたのが水であった。現地の人々の声は「10万円持ってくるより、水持ってきてくれ」であった。水はいくらあってもいい。食事、トイレ、洗い物など、清潔な水が確保できないと、生活の質がすさんでいくのは、中越地震で実体験済である。
▼以前、長岡の鋸山(765m)の山道には、清水のでる多数の水飲み場が存在したものである。それが、中越地震の揺れで水脈が変わったのか、多くの地点で水が枯れてしまった。熊本で一番こわいのは建物の崩壊よりも、水脈の変動によって地下水が思うように確保できず、100万人分の水のインフラを根本から立て直さなくてはならないことである。