「めくら判を押す」も禁止ですか?

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お隣のちいばあちゃんは瞽女であった。小柄でいつもきさくなひとであった。小学生のころ、旅の帰りだったのだろうか、4~5人の仲間を連れて我が家で演奏してくれた。三味線の音色というのは普段なかなか聞かないもので、もちろん小学校で教えてはいないので、物珍しく聞き入っていた。

▼目が見えない人を目暗(めくら)というのは差別用語らしい。自分が思い返せば「ちいばあちゃんは目が見えないひと」であっても「ちいばあちゃんは目暗だ」と思ったことはない気がする。ちいさい時だから言葉が差別だかなんだかなどはわかるはずもない。

▼電気設備保守業務をしているいとこと酒を飲んでいると、業界用語の話になった。仕事で使う部品の中に、コンセントにあえて差し口を機能させないために、差し口のないプレートカバーを使うが、これを「めくらプレート」というのだそうだ。そういえば、よく使う「めくら判を押す」も使用禁止なのだろうか。

▼差別用語というのは「セクハラ」と似ているところがあって、本人がどう思うかがすべての気がする。職場の中で「かわいいね」と声をかけられきもちわるいと感じるか、それともうれしいと感じるかだ。なんでもかんでもこの言葉はだめというのは、やりすぎではないだろうか。ちいばあちゃんに「目暗はたいへんだね」といっても怒らなかったのではないかと思う。