ダービー

普段使っている言葉の中で、競馬用語は意外と多い。競り合っている状況を言い表すときには「鼻差」「首差」「一馬身差」などという。また、誰が勝つかを予想するときは「本命」「対抗」「抑え」「穴」と順序を付ける。3歳競走馬を競わせる「ダービー」も最も知られた言葉だろう。

▼もう15年前、この選挙で引退を表明している石原慎太郎議員が、初めて都知事選に出たときに作ったサイトが「東京都知事選ダービー」である。公示前に予想してみようと作成し、候補者全員の顔写真を載せ投票してもらった。意外と反響があり、インターネットでの全国的な関心の高さを感じた。

▼反響は投票してくれた人だけではなかった。当時の(今も?)法律では事前投票、人気投票、世論調査はグレーゾーンとされ、目を付けた警視庁から事情聴取の電話がかかってきた。また、日経新聞の一面コラム「春秋」にもサイト名が取り上げられたり、いくつかの専門雑誌にも取り上げられたりした。

▼今度の日曜日は衆議院選挙である。時代は変わりYahooの「ビッグデータが導き出した第47回衆院選の議席数予測」というものすごいものまである。どの事前予想をみても、野党第一党の民主党とは5馬身差で自民党圧勝である。本命だけあって次は穴。対抗もなければ抑えもない。残念ながら「ダービー」というには程遠い。