ローマ人の思い出
社員が新婚旅行のイタリアから無事帰ってきた。
「お帰りなさい。」
イタリアの思い出といえば、ずいぶん昔ローマへ行ったことがあるが、ローマ駅前では信号を守る人がだれもいなかったことに驚いた記憶がある。赤でも青でもお構いなし。自分の判断でスタスタと交差点を横切っていく。
日本には道幅が狭い小路でも、信号機の付いている道路がたくさんある。4~5歩で渡ることができるのに、信号が赤でじっと待たされていることにじれったい思いをした人は多いはずである。深夜、車を運転しているときの信号待ちも全く同じ心境となる。周りが歩き出さないと自分も信号を無視する勇気がない。周りに人がいなくとも止まる習慣がついていることに「なぜ」と思うこともあるが、ローマ市民にも理解ができないだろう。
ローマ市民にとって、信号機の色は目安であって絶対ではない。逆に日本人にとっては、信号の色が絶対であって、自分の判断は鼻から排除される。国民性や習慣の違いといってしまえばそれまでだが、どちらが良いのかは早計に結論がでないのではないかと思う。信号を守って横断しても交通事故に遭うことはあるだろうし、やぶったからといって遭わないことのほうが多いだろう。
最後は自分で情報収集し(車は来ているか)状況を的確に判断し(安全か危険か)行動するしか術はない。忘れていけないのは、信号機は安全補助装置であっても、われわれの主ではないのである。