午前3時15分起床
10月9日午前3時15分起床
快晴
15分ほど寝過ごしてしまった。目覚まし時計をかけているわけではないので「あまあか」と自分自身で理由もなくうなずく。肌寒さはさほど感じているわけではないが、標高2,410mの朝はやはり息が白む。息子を揺り起こし、昨晩から打合せしていたとおりの準備がオートマチックに進む。受付で頼んでおいた弁当を受け取り、スタートは4時ちょうど。
ヘッドライトの明かりだけを頼りに進む。ひと気はほとんどないが、途中一組のカップルを追い抜く。目指すは標高2,889m「鹿島槍ヶ岳」山頂である。薄明りの中、2時間10分の予定が90分で山頂へ。
山頂にはすでに4名がいる。一眼レフカメラを構える人や、ただ腕組みをするひとなどが、それぞれの想いでその瞬間を待ち構えている。
氷点下7度。大気中では素手の作業は切り裂くような寒さに感覚をマヒされ、差し込むような痛さの中、カメラの準備が完了する。
御来光。
橙色の一筋が大地を切り拓き、燦然とした光に山頂のひとびとが映る。
濃紺の大気の中に閃光きらめき、コバルトの峰々と白色の雲海とが視界に忽然と浮かび上がれば、そこは古今無双のまほろばである。
後方から登りの人声が聞こえてくる。
さてさて、そろそろ降りようか。