成田山新勝寺と芸能事務所
亀有から常磐線一本で行ける成田駅。そこに関東から多くの参拝者が訪れる成田山新勝寺がある。総門をくぐり、仁王門までくるといとこが「こっちが『あ』でこっちが『うん』だな」と阿吽の呼吸の意味を教説してくれた。本堂で護摩焚をしていただき、来年の安寧を祈念した。
▼歌舞伎役者、初代市川團十郎は、ずいぶんとひいきにしていたらしく「成田屋」の屋号はこの寺からとったという。本堂左手の階段を上ったりっぱな額堂には、七代目の石造まである。多くの寄付と奉納をしたといわれている。
▼芸能事務所ジャニーズの営業にたとえると、年始に話題の俳優を新勝寺に派遣、初詣をさせる。護摩木に書いた文字は今年の抱負。サイン色紙を大書し、額に入れて帰っていく。ファンが大勢押しかけ、護摩木を購入し、同じ文字をそこに書いてゆく。そして、だんだんとファンの聖地化がすすむ。
▼江戸で評判の歌舞伎スターを呼び、墨書を額にいれエビデンスを残してゆく。表参道では江戸で人気の酒と食べ物屋を出す。うなぎ屋が多いのは最たるものだろう。だから、大都市江戸から多くの人をひきつけ、それがまた評判となり、参拝者が増えていく。寺もずいぶん商売上手だったと思う。