クラスター

中学1年生が終わった春休み。母と母の姉妹に連れられ、熱海旅行に行ってきた。東京駅から電車に乗り熱海駅に着いたが、どこへ行くかなど関心がなかった中学生は「熱海」という地名が読めなかった。繁華街を歩き、まだまぶしかった夜の熱海の街をよく覚えている。

▼新学期が始まり、幾日か過ぎたころ、からだにだるさを感じたと思ったら、熱を出してしまった。やけに赤ら顔になり、明らかに皮膚に点が浮かんだようにみえる。病院で診てもらうと「風疹」という病気だという。十日ほど学校を休んでしまった。

▼体調は回復したが、学年が変わりずいぶん勉強もしていない。医者から許可がでて、遅れを気にしながら慣れない新クラスに出ていくと、クラスで5人以上が休んでいた。他のクラスも数人づつ欠席者がいるという。もちろん原因となる病名は「風疹」であった。

▼従姉妹に聞けば、すでに関東地域では風疹が流行りだしていたのだという。どこで感染しいつ発症したのか、本人でさえわからない。確かなのは自分のせいでクラスターを発生させてしまったことである。あのとき風疹で苦しんだみなさん。原因は私です。黙っていて申し訳ございませんでした。