時間のマナー:講演を延長するのは自分勝手でマナー違反だ。

画像はこの文の講演会ではありません。

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 サラリーマン時代教えられたことに「5分前精神」というものがあった。お客さんの家を訪問するときは、約束時間の5分前に行けというのだ。それより遅れてもダメ、早くてもダメという。約束時間のちょうどくらいになると人は「まだ来ないなあ」とか「もうそろそろ来てもいいころなんだが」と考えてしまう。早すぎると奥さんはまだ部屋を片付けている途中かもしれないからだ。

 

▼先日の講演会に来ていただいた講師の話が長引いた。8時終了予定が10分過ぎても終わらない。司会者へ「あとどれくらい?」などと壇上から質問している。拍手が終わってからも壇上で続きを話している始末だ。話の終了時間くらい事前に確認しておいたらどうかと思うが、主催者からもまったく説明がなかった不手際があるから、お互いさまというところか。

 

▼人は自分の時間を拘束されることを極端に嫌う。だから、それは相手に対して配慮するべきマナーともいえる。労働すれば拘束しただけの時間あたりの対価として時給を払う。建築業界は昔から手間代といって、一日いくらという報酬システムが確立していた。拘束という苦痛の代償として金銭を支払うということが社会的責任として認知されてきた。

 

▼自分の言いたいことを、時間通りに終了しなかったからと言って、そのまま時間を延長するのは自分勝手であり、マナー違反だ。80人いれば拘束した15分は20時間にもなる。聴衆は5分くらい前になると「そろそろかなとあ」と思うようになり、時間ちょうどになると「イライラ」が始まる。どんなにいい話を聞いたと思っていても、1秒でも時間が過ぎれば「ただの自慢話し」に化けてしまうものである。