さくらを楽しむが「イッキ、イッキ」はもう聞けない。

花吹雪に酔いしれる季節。柿川ぞいのさくら並木は満開で、春の強い風がふくと柿川の水面はピンク一色となる。事務所の追廻橋にあるさくらはビル影になっていて、咲き始めはほかよりも遅いのだが、ふしぎなことに風がふき始めるとどの木よりも先に花びらを散らしていた。

▼長岡の人は二度さくらをたのしむ。先ずは柿川と福島江ぞいの平場のさくらで、川岸の両側から川に覆いかぶさる満開の花はシャッターをいくら押しても飽き足らない。後発は悠久山公園のさくらである。例年さくらまつりが催され、多くの出店と花見客でにぎわいを見せている。柿川のさくらふぶきは宴会準備のゴングである。

▼時計の針を30年以上前にもどすと、高校を卒業したばかりのゴールデンウイークの同級会は居酒屋であった。 高校を卒業さえすれば酒もたばこもOKという感じがあった。中学を卒業し、仕事についていれば未成年だからといって誰もとがめなかった。ゆるやかに「おとなになる」という感覚を酒とたばこは持っていた。

▼だからオリンピックに向け、居酒屋ですら全面禁煙という議論は、お上のよけいなお世話感でいっぱいだ。さくらそっちのけで酒杯をかさねる輩の姿は変わらないが、「イッキ、イッキ」は聞かれなくなった。悠久山さくらまつりの「禁酒・禁煙」が冗談なくやってくるのだろうか。